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認知症とは何か?

'05/02/14
石川県かほく市の「グループホームたかまつ」で、(中略)松田容疑者は11日夜~12日朝、認知症のお年寄りが入所する同施設で、高山さんの顔や腹部、両足にやけどを負わせるなどの暴行を加えて殺害した。

このニュース記事を読んでハテなと思ったのは「認知症のお年寄り」とはどういう意味かということである。調べてみると、「認知症」とは、

痴呆に替わる呼称を検討していた厚生労働省の検討会は19日、「認知症」を新呼称にする方向で大筋合意した。来月に予定している検討会報告書の取りまとめを受けて、同省は行政用語を「認知症」に変更。来年の介護保険制度改正でも法律用語として使う方針だ。これを機に医学界も用語の見直しに向け検討に入る予定。
 ただ、痴呆という言葉は広く浸透しており、普段の生活の中では引き続き使われる可能性が高そうだ。
 検討会は候補を6つに絞り込み、9月から国民の意見を募集。その結果、適切な認識ができない痴呆の特徴を表した「認知障害」が最も多く、「認知症」「記憶障害」「アルツハイマー」「もの忘れ症」「記憶症」の順だった。ただ、「認知障害」はすでに精神医学分野で使われているため、今後混乱する可能性があるとして、2位の「認知症」がふさわしいと判断した。
(共同通信) - 11月19日19時57分

とのことだ。「認知症のお年寄り」とは要するに「ボケ老人」のことである。
この新用語が適切かどうかということで、色々論議があったようなのだ、私も一言言わせてもらいたい。
まず、「...症」というのは、症状を表す言葉であって、病気そのものではないことに注意されたい。症状からその原因である病気が推察されるのである。
健忘症とは、健忘、すなわちひどい物忘れをするという症状があることである。
その理屈から言うと、花粉症は一見おかしいように思えるが、これが、花粉によるアレルギー性炎症の省略語と考えれば納得いくだろう。
(ちなみにヒエショウは、冷え性であって、冷え症ではないのでお間違いなく)
では、認知症はどう考えればよいだろうか?
「認知」とは、あるものがそうであると認めることである。例えば「この子は昔捨てたわが子に間違いないです」とか、「この子は先日から行方不明になっていたうちのシナモンちゃんです」とかいうこと。ボケ老人は、こういった認知に問題があるからボケていると言われるわけで、自分の息子を亡くなった同級生と間違えたり、看護師を自分の嫁さんと思い込んでいたりするのだろう、つまり、正しく認知できない、わけだ。要するにボケ老人は「誤認」する。
であるから、「...症」という言葉が、...の症状があるという意味で構成されるのであれば、「認知症」より「誤認症」のほうが適切に思われる。
しかし、それは理屈である、もう一度考え直してみよう。
そもそもそういう造語が必要になった所以は、「痴呆」と言う言葉に差別的響きがあるので、これを使うのをやめようということである。そのような理由で造語が行われる場合、新しい言葉は、分かりやすくてはいけない。分からないからこそ、あまり使われない、そこに差別が混じる間隙がなくなる。
「認知症」という言葉を聞くと、認知がなぜビョーキなのか、と考えてしまうので、分かりにくい。で、認知症とは、誤った認知をする症状なのだ、要するに痴呆、それが老齢に伴うものだったらボケ老人ということだと聞いて納得する。分かりにくいからこそ、もって回った言い方だからこそ、蔑視が薄れるというわけだ。だが、これには落とし穴がある。

映画『座頭市地獄旅』を見ていたら、市の台詞に「身体障害者」というのがあって、この時代そんな言葉があったとは思えないが、と驚いてしまった。恐らく、(ピーッ)とか(ピーッ)とか言う言葉は使えなかったのだろう。そういう差別にまみれた言葉があればこそ、「身体障害者」と言う言葉はその比較において差別感が少ないのであり、昔からの言葉が廃れてしまうことは、そうすることが新語を作った目的であるが、それを達成することは、今度は、その語が蔑視の的にならざるを得なくなる。最早「障害者」という言葉を使うことが差別であり、蔑視となる。障害があるから障害者なのだが、それでは分かりやすいので、もっと婉曲に「身体者」とでも言うことになるのだろう。

どこぞの女性大学教授が、「区別することから差別が生じる、だから区別するのは差別するよりもっと悪い」とおっしゃっていたが、その理屈からすると、障害者と健常者の区別があるからいけないということになる。これでは滅茶苦茶である。区別ができればこそ、分別があるのであり、そこに何を盛り込むのか、思いやりなのか、蔑みなのか、は別問題だろう。

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