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'07/09/07 ゴミ箱から拾ってきた映画『リストマニア』(英75年) LISZTOMANIA

購入したビデオについてはリストアップしているつもりだったが、そこに漏れているものもあるようで、手持ちなのに間違ってまた買いそうになってしまった。持っていたような気がしたので、棚に並んでいるものを見直してみたら、やはりそこにあった。しかし、棚に並んでいる分はよいが、入りきらず積み上げてあるほうが数が多いので、そちらにあったらどうしようもない。ここまでくると専用のラックにしっかり分類しないといけない。以前もそう思って、一時ビデオの購入を見合わせていたのだが、また買っておきたいものがいくつか出てきて困っている状況である。
積み上げておいても何ともならないので、少しずつでも、時間が空いたら見るようにしようということで、一本選んだのが、ケン・ラッセル監督の未公開映画『リストマニア』である。
この映画は、CSで放送されて録画もしたような気がするが、まだ見てないので手持ちのビデオで見ることにした(今のところ未DVD化)。リック・ウェイクマンが音楽担当で、サントラLPレコードは聴いているし、主演がザ・フーのロジャー・ダルトリーともなれば、面白くないはずがない。(同監督同主演の『トミー』はビデオ録画してあるが、ぜひDVDが欲しい!)

ケン・ラッセル監督は、チャイコフスキーやマーラーの生涯を題材にした作品を撮っているが、この映画ではフランツ・リストを扱っている。『アマデウス』の監督候補にも挙げられたらしい。確かに、ケン・ラッセル監督がモーツァルトの生涯を描けば、もっと面白い映画になっただろうが、戯曲のシナリオやハリウッド資本の制約があっては、力を発揮するのは難しかっただろう。
リストを扱った映画と言えば、他にもダーク・ボガードとキャプシーヌが主演した『わが恋は終りぬ』(米60年)SONG WITHOUT END がある(昔々テレビで見た)が、この普通のドラマと比べると、『リストマニア』のリストは、まずロックスター然と描かれており、相当強烈で、ファンタジックなシーンのオンパレードとなっている。ケン・ラッセル監督の他の映画を見ていれば驚くことはないのだが、はっきり好き嫌いが分かれる類のものだと思う。
チャイコフスキーの生涯を描いた「恋人たちの曲/悲愴」では、強烈な描写はあっても、時代背景は守られていたし、幻想的なシーンはなかった。(*1) 『マーラー』には、マーラーが精神分析医にかかっていたという史実もあり、それらしい幻想的なシーンはあったが、全体に占める割合から考えればわずかなものだった。だが、この映画は、最早、やり過ぎとか、悪ふざけが過ぎる、といった批判を免れないほど、圧倒的にファンタジックな映像に溢れている。
フェリーニの作品もそうだが、これは極めて詩的な感覚であって、小説や演劇的な感覚では理解できない。スラップスティックコメディにも同様の感覚があり、この映画をコメディとして見るのも悪くない(実際、チャップリンの映画のパロディーらしきシーンもある)と思う。
私が強く感じたのは、イギリス的なユーモアというか、島国根性みたいなもので、これは「大陸的」と呼ばれるようなものとは逆のもので、毒々しさ、刺々しさを除けば、日本人には馴染みやすいものかもしれないということだ。
こういう映画を子供のとき見るとトラウマになって、変な映画マニアを生み出すことは間違いないので注意されたい。(私自身がそんな感じです)

[追記]

(*1) 「'20/05/26 ゴミ箱から拾ってきた映画、ケン・ラッセル監督『恋人たちの曲/悲愴』(英1970年)THE MUSIC LOVERS」に記載したが、「いかにもケン・ラッセルな幻想シーンが最後のほう、序曲「1812年」に乗せて展開される。(このシーンはテレビ放送ではカットされていたか、単に自分が忘れてしまったのだろう。その他に、グレンダ・ジャクソンの空想シーンがいくつかある)

国内版DVDはいまだ出ていないようだ。

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