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弁護士がなんとかしてくれる

光市母子殺人[屍姦]事件の裁判で、被告が「ドラえもんがなんとかしてくれると思った」と述べたと聞くと、アルベール・カミュの『異邦人』の主人公ムルソーが、殺人罪の裁判で「太陽のせいだ」と答えたのを思い出さずにはいられないのは私だけだろうか?
こういうのを「不条理」と言うのだろう!

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正確には、一歳弱の娘を紐で絞め殺し、その遺体を押入れに入れた理由として、「何でも願いをかなえてくれる場所だと思っていた。ドラえもんがなんとかしてくれると思った」という発言があった。
首をひもで絞めたことは覚えていないとし、「亡くなったと分かって絶望し、ドラえもんが何とかしてくれると思い、押し入れの天袋に入れた」とのことである。

ドラえもんと押入れがどう結び付くのかわからないが、ドラえもんと言えば、のび太の机の引き出しから現れたのであり、そこが時間旅行の出入り口になっていたことへの連想だろうか?

屍姦した理由について、山田風太郎の『魔界転生』の影響とし、復活の儀式だったとしたのは、ドラえもんに比べると面白くない(失礼!)。これは前言と矛盾している。「いざとなればきっとなんとかしてくれるさ。いつもそうなんだ」とドラえもんに頼ってばかりいるのび太がそんな凄いことを行うだろうか?
ドラえもんの最終回で、最早ドラえもんは何もしてくれないからこそ、自分で何とかしなければならないわけで、自分でなんとかするつもりだったら、「ドラえもんが何とかしてくれる」ということにはならない。

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カミュの小説では、主人公は、死刑直前に自分は幸福だと確信する。
ならば、この被告人もまた、ギロチンを前にして(これは比喩的表現)、誰かがなんとかしてくれると確信できるだろうか?

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