オーディオ機器 - スピーカーの聴き比べについて
これまでオーディオ機器はありあわせで済ませてきた。自分の部屋で使っているのは、古いパイオニアのシステムコンポのアンプを中核として、レコードプレーヤー、CDプレーヤー、FM/AMチューナーを繋いだものだが、最近はもっぱらドック経由で ipod を繋いで聴いていた。肝心のスピーカーは、英国製 MISSION 761 である。一昔前、いい音が聴きたいと思い、名古屋の大須にある某中古オーディオ店にスピーカーを探しに行ったところ、店主からこの新品を薦められたのだった。これまた某中古レコード店で購入した、カール・ペーム指揮、モーツァルト作曲、交響曲第36番「リンツ」のLPレコードを持っていたところ、これをかけて国産中古と聞き比べさせてくれた。私の耳には、国産の大振りなスピーカーより、小型で比較的安価なこのスピーカーの音のほうが心地よく響いたのだ。
さて、最近、住環境に変化があり、お蔵入りしていたオーディオ機器を引っ張り出して設置する余裕ができた。
置き場に困っていたのが、大型のフロアスピーカー Technics SB-1990 (「オーディオの足跡」に紹介あり)である。30cmウーハーを搭載した3ウェイである。実は一度売り払おうとしたのだが、サランネットが付いてなくて、自作の枠付きネットが釘で打ち付けられているため、売り物にならず引き取ってもらえなかったといういわくつきの一品である。
これに組み合わせるのは同じく Technics チューナープリアンプ ST-K808、パワーアンプ SE-A808 で、これらは元々不用品をまとめて譲り受けたものらしい。
この大型スピーカーがどんな音を出すのか、また、MISSION 761 と比べてどうなのか、どうしても確かめたくなった。
パワーアンプは、2系統のスピーカーを前面スイッチで切り替えられるので、高価なスピーカー切り替え機がなくとも、二種類であれば簡単に聞き比べできる。
ソースは ipod。
まず、SB-1990 だが、そのままだとキンキンやかましく感じるので、トーンコントロールで少々高域を抑える必要がある。761 はもともとまろやかななクラシック向けの音色で、高域が消極的なのだが、それ以前に、まず、圧倒的に音量差がある。箱の容量が全然小さいのだから当然なのだが、どうしてもアンプのボリュームを上げる必要がある。
明らかに SB-1990 は音の分離が良い。さすが3ウェイ。高中低それぞれ良く出ている。それに比べると 761 はまとまって一体感のある音なのだが、悪く言えば、引っ込んでいて、もやもやしている。これは個性的な音色と言うべきかもしれない。以前はこの音色が気に入っていたのだが、SB-1990 の音を聴いていたら、現実的な生の音は、むしろ、SB-1990 のほうに近いと思えた。あまり音量を上げられない狭い部屋で聴くには 761 はちょうど良かったのだが、ガンガン聴くには、パワフルな SB-1990 のほうが断然良いと感じた。ヘッドフォンやツーウェイの小型スピーカーでは聞こえなかった音が、粒立ち良く、はっきり聴こえるのに虜になってしまった。
困ったことに、これを聴いていると、もっと音量を上げたくなるし、簡単には離れられなくなってしまう。これまでずっと聴いてきた曲が別物の響きになるのが面白くて仕方がないのだ。オーディオマニアの気持ちが理解できる。
もし ipod のヘッドフォンで聴く音しか知らないのであれば、それは悲しむべき損失である。

