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三菱自動車の燃費不正に関する問題

三菱自動車の燃費不正が発覚したのが、OEM供給先の日産自動車からの指摘によるものであり、決して利用者から声が上がったものではなかったというところに関心がある。
似た例として食材偽装では、ホテルやレストランの高級料理で使われている高級食材が、実際には安価な別のものだったのだが、それを食べた客はまったくそのことに気づいていなかった。事態は内部告発から露見した。客は喜んで安い料理に高い金を払って満足していた。
三菱自動車のユーザーが、カタログ燃費がおかしいと疑問をもって、どれだけメーカーにクレームを入れたのだろうか。恐らく、大半の利用者は、燃費に疑問を感じず、自分の車に満足していたのではなかったろうか。

そもそも、どの自動車を買うか選ぶ際、カタログ燃費の比較で数値の一番良いものに決める人がどれほどいるか、というわけで、カタログ燃費が車選択の主要な要因になるという人は、ごく少数に限られるだろう。三菱自動車が良いと思う人は、何か他の動機に基づいてそう思うのだろう。その動機は人それぞれであって、なかなか理解しがたいものがある。購入動機とは無関係なデータに改ざんがあったと知って利用者は、だまされた、裏切られたと思うのは、根拠のない動機による信頼を裏切られた自らの愚かさを、メーカーに転嫁しているように見える。

カタログ燃費はメーカーが測定しているのではない。それでは、メーカーごとに測定方法が異なれば、比較しようがないわけで、消費者にとって不都合が生じるため、統一した測定方法が用いられている。なのに、なぜ三菱自動車が不正ができたのか、そのわけは、次の資料を参照してほしい。

マイナビニュース【連載】自動車ニュースを読み解く 7 三菱自動車が手を染めた燃費不正操作、背景を探る
「燃費の測定は、そのモデルの型式指定審査時に行われる。型式指定審査とは、新しいモデルを発売する前に、安全性などを国土交通省が審査するもの。(...中略...)燃費についてもこのときに国土交通省が厳密に測定し、カタログには「国土交通省審査値」として記載される。」
「燃費の測定は、シャーシダイナモという機械で行われる。大きなローラーの上にタイヤを乗せて、屋内で路上走行の状態を再現できる機械だ。(...中略...)しかし、この方法では車体の空気抵抗やタイヤの転がり抵抗を再現できない。そこで、空気抵抗や転がり抵抗を「走行抵抗値」として別途、車種ごとに測定しておき、その数値をシャーシダイナモにインプットして測定値を補正する方法が採られている。」
「「走行抵抗値」を操作すれば燃費測定の結果をどのようにもコントロールできるということになる。常識的に考えれば、「走行抵抗値」の測定も国土交通省、あるいは利害関係のない第三者が実施しなければならない。ところが、実際には「走行抵抗値」はそのクルマを開発したメーカーが測定し、その数値を国土交通省に申告するという方法が採られていた。」
「今回の三菱の燃費不正問題は、この「走行抵抗値」をごまかすことで、実際より優れた燃費になるようにしていた。」

カタログ燃費は、いわば国土交通省の「お墨付き」であるはずなのに、そこには、誰でもわかるような不正の余地があったのだ。なぜ、そんな「大穴」が見落とされていたのか本当のところはわからないが、印象として、そこには、国と自動車産業界の間の主導権争いが垣間見られる。政治は産業界に動かされるのだ。
国の審査がずさんだという一部批判を受けて、早速その対策が打たれたが、これは批判をまぬかれるための「言い訳」としか感じられない。

毎日新聞2016/5/2 東京夕刊 燃費データ不正 三菱車を独自試験 国交省、来月燃費公表へ
「国土交通省は2日午前、三菱自動車が燃費試験データを改ざんしていた軽自動車4車種の走行データの測定を埼玉県熊谷市で始めた。国による独自試験は異例。」
「試験は国交省の外郭団体「自動車技術総合機構」の試験場で実施。」
「走行抵抗値は本来、メーカーがテストコースで計測し、燃費試験を行う同機構に提出。機構は申告された抵抗値を試験に反映し、燃費を算出する。」
「しかし今回、三菱自は「eKワゴン」など4車種で、燃費が実際よりも良くなるように走行試験結果を改ざん(...中略...)このため国交省は「信頼を損ねた」として独自で走行試験に乗り出した。」

それほどカタログ燃費が重要であるならば、もっと根本的な対策が必要だろう。

私たちは三菱自動車を、データ偽装を行った、悪徳企業であると糾弾するよりも、私たちの愚かさに気づかさせてくれたことに感謝すべきだと思う。

消費者は愚かである。企業の論理に利用され、国に税金を吸い取られる。自分が正しいと考えていることは、誰かの意向に誘導されている。消費社会の中で、真に独立した個人を確立するのは至難の業である。
国は経済界の意向を無視できず、癒着し、独立した政治を確立できない。企業の売上げのために政治が利用される。

個人的な意見を言わせてもらえれば、カタログ燃費は、メーカーそれぞれが独自に測定すれば十分である。そこに国が介入して、不要な天下り先を作る必要はない。消費者が賢くなればよい。そのほうがずっとよい。私は怠惰な奴隷は嫌いだ。

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