シェイクスピアの二十八番そねっと

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まず、オンライン辞書の記載内容を無断転載していると非難されないように、調べた単語や例文などの出典を、再度、明確にしておきたい。基本的に、weblio 英和辞典・和英辞典を利用しています。詳細については、「拙訳タンジェリン・ドリーム「タイガー」my poor translation of "Tyger" by Tangerine Dream」に記載したとおりです。

シェイクスピアの『ソネット集』の拙訳は、「シェイクスピアのそねっと目次」にまとめるようにしたので、そちらを参照されたい。

前回の二十七番の続編というべき二十八番は、英語版 Wikipedia の解説によれば[Google翻訳結果そのまま]、
ソネット 28 の主題はソネット 27 で始まり、ソネット 43 と 61 に続きます。 4 つのソネットすべてで、詩人が夜、暗闇の中でベッドで一人で、心の目で若い男のイメージを思い起こさせようとして失敗しているのを見つけます。 4 つの作品はすべて、眠れない夜の不安と、詩人の心の中で起こる想像の旅を描いています。

Shakespeare

//--- 原文と拙訳(定形をやめて、訳し直した。意味を読み取ること重視で直訳っぽい)

How can I then return in happy plight
That am debarred the benefit of rest?
When day's oppression is not eased by night,
But day by night and night by day oppressed?

どうして幸せに感じて戻れるだろう
休息の恵みを奪われたまま
昼間のやり場なさは、夜にも癒されず
昼も夜(よ)も、夜も昼も、やる瀬なく

And each, though enemies to either's reign,
Do in consent shake hands to torture me,
The one by toil, the other to complain
How far I toil, still farther off from thee.

どちらが支配するかを争う、敵同士
ながら、手を握り、私をいたぶる
かたや苦役、かたや不平でもって
どれほど辛い道を行けど、君になお遠い

I tell the day to please him, thou art bright,
And dost him grace, when clouds do blot the heaven;
So flatter I the swart-complexioned night,
When sparkling stars twire not thou guil'st the even;

雲が天を隠しても、君の輝きが美しくする
と言って私は、昼を喜ばせ
きらめく星が輝かずとも、君が金に塗る
と言って、浅黒い顔の夜にへつらう

But day doth daily draw my sorrows longer,
And night doth nightly make grief's length seem stronger.

けれど、昼は日ごと悲しみを長引かせ
夜は夜ごと強く嘆きを募らせる

 

//--- イディオム、例文、単語など
plight
[通例単数形で](通例悪い)状態、苦境、窮状、はめ
debar〈人に〉〔…(すること)を〕(法的に)禁ずる;妨げる〔from; from doing〕
oppression 圧迫、圧制、抑圧;圧迫感、憂うつ、意気消沈;重苦しい[だるい]感じ

swart〈皮膚・顔色が〉浅黒い、黒ずんだ;日に焼けた
complexioned[複合語をなして](…の)顔色をした
- fair[dark]-complexioned 色白[黒]の顔をした
gild〈…に〉金[金箔(ぱく)]をきせる、金めっきする;〈…を〉金色に塗る
even《詩語》夕、晩

//--- 拙訳について
And each, though enemies to either's reign,
覇権争いをしている敵同士が、昼と夜で、

I tell the day to please him, thou art bright, / And dost him grace, ...
「私は昼にこう言って喜ばせる」him = the day
「君は輝いて、[彼を]美しくする」thou = "Fair Youth"

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比較参考のために、以前定型で訳したものを掲載する。(読み直すとかなり怪しい...)

幸せな 様で、どうして 戻れよう、
 休みの恵み 奪われながら?
夜なれど、 昼の気だるさ 癒されず、
 昼夜、夜昼、 苦しめられる。

支配権 巡って、互い 敵ながら、
 われ苦しめる には手を握る。
辛い道、 昼行き、夜は 愚痴こぼす、
 進んでもまだ 君から遠い。

われ昼を 喜ばす、君 輝いて
 天穢す雲 さえ追い払う、
黒い夜 おだてる、星が 輝くを
 やめても君の 黄金ありと。

だが昼は、 日ごと悲しみ 長引かせるし、
夜は、夜ごと 嘆きの強さ 強めるばかり。

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シェイクスピアの二十七番そねっと

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Shakespeare

//--- 原文と拙訳(定形をやめて、訳し直した。意味を読み取ること重視で直訳っぽい)

Weary with toil, I haste me to my bed,
The dear repose for limbs with travail tired;
But then begins a journey in my head
To work my mind, when body's work's expired:

辛い仕事に疲れ、すぐさま寝床(ねどこ)
くたびれた身体(からだ)をたっぷり休める
だがそれから頭の中でまた旅が始まる
身体の仕事が終われば、頭脳(あたま)の仕事

For then my thoughts, from far where I abide,
Intend a zealous pilgrimage to thee,
And keep my drooping eyelids open wide,
Looking on darkness which the blind do see;

私の思いは、いるところから、はるかに
遠く、君への熱き巡礼の旅に出かける
下がる瞼を大きく開(あ)けて
盲人が見る(=見えもしない)、闇を見つめる

Save that my soul's imaginary sight
Presents thy shadow to my sightless view,
Which like a jewel hung in ghastly night
Makes black night beauteous, and her old face new:

私の魂の想像の視界だけが
君の影を私の見えない目に映し出す
おぼろな夜に掛けられた宝石のように
黒い夜を美しく、その古びた顔を新たにする

Lo, thus, by day my limbs, by night my mind,
For thee, and for myself, no quiet find.

ほら、こうして、昼は身体、夜は頭脳と、
君のため、私のため、落ち着くときはない

 

//--- イディオム、例文、単語など
toil
骨折る、骨折って働く;骨折って進む、難渋しながら歩く
 (長く続く)骨折り(仕事)、 苦労、労役
repose 休息;睡眠;休養、静養;(場所などの)平静、閑静;(態度などの)落ち着き、沈着
limb(人・動物の胴体・頭部と区別して)肢(し)《腕・脚・ひれ・翼など》
travail 骨折り、労苦;身体的あるいは精神的なエネルギーの使用(use of physical or mental energy)

abide《古語》〔場所に〕とどまる、残る〔in,at〕;〔人の所に〕とどまる〔with〕;〔…に〕住む、滞留する〔at,in〕

lo《古語》見よ!、そら!、それ!、ほら

//--- 拙訳について
英語版Wikipedia等の解説によると、

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比較参考のために、以前定型で訳したものを掲載する。(読み直すと、出来の良い方だとは思うが...)

辛い旅、疲れ寝床に 急ぐのは、
 しばし体を 休めるためだ。
だがそれで 頭の中の 旅となる、
 体の次は 頭の仕事。

考えは 居場所をはるか、 熱烈に、
 君のもとへと 巡礼に行く。
垂れ下がる 瞼をかっと 見開かせ、
 盲たように 闇を見つめる。

魂の 想像の目が、 君の影、
 見えるはずなき 目に映し出す、
おぼろ夜に かけた宝石、 夜の顔、
 美しくして 若返らせる。

このように、 昼は体だ、 夜は頭と、
君とわが ため、落ち着ける ときはないのだ。

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シェイクスピアの二十二番そねっと

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Shakespeare

//--- 原文と拙訳(定形をやめて、訳し直した。意味を読み取ること重視で直訳っぽい)

My glass shall not persuade me I am old,
So long as youth and thou are of one date;
But when in thee time's furrows I behold,
Then look I death my days should expiate.

鏡には、私が老いたと説得できない
君と若さが同じ日にある限り
だが君に、時の轍を見るならば
死が私の生涯に償わせるだろう

For all that beauty that doth cover thee
Is but the seemly raiment of my heart,
Which in thy breast doth live, as thine in me:
How can I then be elder than thou art?

君を覆うその美しさはすべて
私の思いに相応しい服でしかない
私の思いは君の胸の奥に住む、君のもそう
ならば私が君より年長でありえようか

O, therefore, love, be of thyself so wary
As I, not for myself, but for thee will,
Bearing thy heart, which I will keep so chary
As tender nurse her babe from faring ill.

ああ、だから、愛しい人よ、気を付けよ
私は、自分のためでなく、君のため
君の思いを抱(だ)く、優しい乳母が
赤子を守るように大切に

Presume not on thy heart when mine is slain;
Thou gav'st me thine, not to give back again.

私の思いが殺されたとて、君の思いが消えると思うな
君のはもらった、返しはしない

 

//--- イディオム、例文、単語など
of one date
?
- be of one [a, like] mind〈二人以上の人が〉意見が一致している
expiate〈罪・悪行を〉償う

seemly[やや古](態度などが)ふさわしい、適切な;礼儀にかなった
raiment[集合的に]《文語・古》衣類、衣服

wary〈人が〉用心深い、慎重な、油断のない;〔…に〕注意深くて、油断なく〔of〕;〈行為・観察など〉慎重な、油断のない
chary 用心深い、〔…に〕用心して、〔…しないように〕気をつけて、警戒して〔of〕
 遠慮がちな、内気な;〔…に〕遠慮して〔of〕;〔…を〕出し惜しみして〔of〕
fare[様態の副詞を伴って]〈人が〉(よく、まずく)やっていく、暮らす
[非人称主語 it を主語にして;様態の副詞を伴って]〈事が〉〔…にとって〕(うまく,まずく)いく,成り行く〔with〕
- It has fared ill [well] with them. 彼らはうまくいっていない[いっている]。

slay《文語・戯言》〈…を〉殺害する
presume (intransitive) To be presumptuous; with on, upon, to take advantage (of), to take liberties (with). [from 15th c.]
presumptuous 押しの強い、僭越な、無遠慮な;〔+of+(代)名詞(+to do)/+to do〕〈…するとは〉〔人は〕僭越で

//--- 拙訳について
英語版Wikipedia等の解説によると、この詩は作者が30歳半ばに書かれており、それほど老けていたわけではないが、自分を老人に見立てて愛を詠う(愛があれば歳なんて、みたいな)のは、エリザベス朝時代の詩にはよくあった(ペトラルカのソネット143番の影響)とのこと。また、ペトラルカのソネット48番を筆頭として、「「心臓」の交換」を主題とした詩が、これ以外にもいくつかあるとのこと。(なお、これまた、"heart" と "mind" の翻訳問題が課題になる)

But when in thee time's furrows I behold,
現実問題として、君が年老いたとき、私はもう生きてはないだろう、ということを言っているのだと思う。(この後、話が飛躍する)

How can I then be elder than thou art?
率直に言って、二節の理屈がよくわからない。
君の若さ・美しさは、君の胸の奥に住まう、私の「心臓」の衣服に過ぎず、
醜く老いた私の姿は、私の胸の奥に住まう、君の「心臓」の衣服に過ぎない、だから、
君と私は同い年である、という論法が…
愛に年齢はない、ということですかね?

Presume not on thy heart when mine is slain;
"presume" の訳語が難しい。
「私の心臓」は君の胸の奥にあって、「君の心臓」は私の胸の奥にある。君が「私の心臓」を殺した(君が私への愛を失った)としても、「君の心臓」(私の君に対する愛)は変わらない、ということが言いたいのだと思うが…
英文解説を読むと、
Do not presume that your heart is killed when my heart is killed.
と読むのが一般的なようだ。

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比較参考のために、以前定型で訳したものを掲載する。(読み直すとかなり怪しい...)

鏡を見、 自分が老いた と思わぬ、
 君と若さが ともにあるから。
だが君に、 時の轍を 見たならば、
 死がわが日々を 奪うと思う。

君包む 美はすべて、わが 心着る
 衣服なるから、 君の胸奥
われ住まい、 君もまたわが 中に住む。
 ゆえ君とわれ 同い歳なり。

ああ、だから 気をつけてくれ、 われもまた
 君のため身を 大切にする。
君心、 乳母が赤子を 守るよに、
 大切にこの 胸抱きしめる。

わが心 滅びて、君の 心戻らず、
君心 くれたのはもう 返さずともと。

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シェイクスピアの三番そねっと

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シェイクスピアの『ソネット集』の拙訳は、「シェイクスピアのそねっと目次」にまとめるようにしたので、そちらを参照されたい。

Shakespeare

//--- 原文と拙訳(定形をやめて、訳し直した。意味を読み取ること重視で直訳っぽい)

Look in thy glass, and tell the face thou viewest
Now is the time that face should form another;
Whose fresh repair if now thou not renewest,
Thou dost beguile the world, unbless some mother.

鏡を見て、眺める顔に言いなさい
今こそ別の顔を作るべきときだと
今新たに、作り直し、修繕しないのは
世間を欺き、[誰かから]母になる喜びを奪うのだと

For where is she so fair whose unear'd womb
Disdains the tillage of thy husbandry?
Or who is he so fond will be the tomb,
Of his self-love, to stop posterity?

君が耕すのをよしとしない、まだ
子宮を耕されていない美人がいようか
自己愛に溺れて墓場[へ]行(ゆ)き、
子孫を途絶えさせてしまう者がいようか

Thou art thy mother's glass, and she in thee
Calls back the lovely April of her prime:
So thou through windows of thine age shall see,
Despite of wrinkles, this thy golden time.

君は母上の鏡、母上は君に
自分の若い頃[の]、美しい四月を見る
そのように君もまた、皺だらけに老いて
今のこの、黄金のときを見る

But if thou live, remember'd not to be,
Die single, and thine image dies with thee.

だが君が、忘れ去られたまま、生きるなら
ひとり死ね、君の姿とともに死ね

//--- イディオム、例文、単語など
beguile

〈人を〉〔…で〕だます、欺く〔with; by〕;だまして〔…の状態に〕させる〔into〕、
〔…を〕取る〔out of、of〕
〈人を〉〔…で〕楽しませる、喜ばせる〔with、by〕;〔…で〕〈時・飢えなどを〉紛らす〔with、by〕
〈物事が〉〈人を〉魅了する

uneared (obsolete) = unploughed(農地について)耕されない
disdain《進行形なし》
〈…を〉軽蔑する;〈…することを〉潔しとしない、恥とする〈to do; doing〉《受身不可》
tillage 耕作;耕地
husbandry 農業、耕作(farming);節約、倹約、やりくり
fond〔…を〕好んで〔of〕
 優しい、情け深い;愛におぼれた、甘い;〈希望・信念など〉たわいもない、盲信的な
posterity 後世[後代]の人々;[通例 one's posterity]子孫

//--- 拙訳について
Look in thy glass, and tell the face thou viewest
"view" の訳語に試行錯誤した。結局、「しげしげと眺める」の意味合いで選択した。以前の訳もそうしていたが、意味合いからではなく、恐らく、語数からではなかったかと?

Die single, and thine image dies with thee.
最後は、全部命令口調がいい感じだと思う。(以前の訳もそうしていた)

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比較参考のために、以前定型で訳したものを掲載する。(読み直すとなんか怪しい... 定型に合わせるのに苦労している様子がうかがえなくもないが...)

鏡を見、 眺める顔に 言いなさい、
 今こそ別の 顔を作れと。
新品に 修理しないは、 子宝を
 奪い、世間を 欺くことだ。

穂の出ない 子宮をもった 女なら、
 君の耕しを 恥じたりしない。
男なら、 自己愛に溺れ、 墓を堀り、
 子孫を断つとは 愚かにすぎる。

母上が、 君を鏡に、 青春の
 美し卯月を 思い出すよう、
歳月の 窓を通して 君もまた、
 この黄金の 時を見ようぞ。

君ひとり、 忘れ去られて 生きていくなら、
ひとり死ね、 君の姿と ともになくなれ。

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シェイクスピアの二番そねっと

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前回、一番を訳し直そうとして、すでに記事にしていたことがわかり、多少修正したのに続いて、二番を読み直してみた。

Shakespeare

//--- 原文と拙訳(定形をやめて、訳し直した。意味を読み取ること重視で直訳っぽい)

When forty winters shall besiege thy brow
And dig deep trenches in thy beauty's field,
Thy youth's proud livery, so gaz'd on now,
Will be a tatter'd weed, of small worth held:

四十の冬が君の額を取り囲み
君の美しい野に深い塹壕を掘るとき
今皆が見つめる、若さの誇らしい装いは
価値のない、ぼろぼろの雑草となる

Then being ask'd where all thy beauty lies,
Where all the treasure of thy lusty days,
To say, within thine own deep-sunken eyes,
Were an all-eating shame and thriftless praise.

君の美しさはどこにいったのか
ぎらついた日々の宝はどこか、と問われて
深く落ちくぼんだ目の中に、と言うのは
赤っ恥な自画自賛でしかない

How much more praise deserv'd thy beauty's use,
If thou couldst answer “This fair child of mine
Shall sum my count and make my old excuse,”
Proving his beauty by succession thine!

こう答えられるなら、君の美の使い途(みち)は
称賛を受けるに値する、「この可愛い子が
私の勘定決算、老いる理由になってくれる」と
その受け継いだ美が、君の美を証明してくれる

This were to be new made when thou art old,
And see thy blood warm when thou feel'st it cold.

これが、老いたとき、仕立て直されること
血が冷たく感じるとき、暖かい血が見られる

//--- イディオム、例文、単語など
livery
お仕着せ、おそろいの服;(同業組合員などの)制服;貸し馬[馬車]業
《詩語》(特殊な)装い〔of〕- the livery of spring 春の装い
tatter(~s)ぼろ、ぼろ切れ;ぼろ服
tattered〈衣服など〉ぼろぼろの;〈人が〉ぼろを着た
weed 雑草

lusty 頑健な、丈夫な;〈声など〉元気いっぱいの、高い;性欲の旺盛な、好色な
thrift 倹約、節約
thriftless 金づかいの荒い、浪費する

excuse 弁解、言い訳;口実〔for〕;(欠席などの)遺憾の意の表明、おわび
〔過失などの〕理由〔for〕 - without excuse 理由なく
- You should not be absent without a good excuse. ちゃんとした理由もなく欠席してはいけません
make one's excuses [phrase UK] (Cambridge Dictionary)
to explain why you cannot be present somewhere:
by succession 世襲によって

new-made 出来立ての (newly made)

//--- 拙訳について
When forty winters shall besiege thy brow
"forty" は実際は回数だが、この行から次行の表現では、「人」と数えるのが適切だろう。ただ、「四十人の冬」と訳すのはわけがわからないので、数え方は省略した。

Were an all-eating shame and thriftless praise.
訳すのが難しかった。"all-eating" の意味がわからず。「なんでも食べてしまう(ような)恥[ずかしい行い]」といったところではないかと思う。"thriftless" は、「節約、倹約」しない、ということで、「(一切)謙遜しない」といったところか。

How much more praise deserv'd thy beauty's use,
一番で、君は君の美を浪費している、と詠われているのを意識した。

This were to be new made when thou art old,
"new made" は、英文の解説を見ても「生まれ変わる」"reborn", "newly created" といったことが書いてあるが。第一節を意識した訳にした。

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比較参考のために、以前定型で訳したものを掲載する。(読み直すとなんか怪しい...)

冬四十路(よそじ)、 君の額を 取り囲み、
 美しい野に 塹壕を掘る。
青々と、 若いつもりが 枯れ果てて、
 ぼろぼろ、無価値、 雑草となる。

君の美は どこに行ったか、 輝いた
 日々の宝は どこへ行ったか、
と問われて、 落ち窪んだ目 のなかにと
 言うのは、無駄な、 恥ずべき浪費。

もし君が、 この美しい わが子こそ、
 老いた自分の 財産すべて
引き継ごう と、答えたなら、 君の美を
 使うに良いと 褒め称えよう。

これこそが、 古びた君を やり直すこと、
君の血が 冷えたとき見る 暖かな血だ。

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シェイクスピアのそねっと目次

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Shakespeare

旧年は、まだ若い時分に、全編読んで訳してみた、シェイクスピアの『ソネット集』を見直して、訳し直していた。
新年を迎えて、次にどれを読み直してみようかと考えて、やはりここは一番だろうと思ったものの、確認してみたところ、すでに拙訳して記事にしていた。この機会に、どれを訳し直したのか、一覧してみた。

// 1〜17番 若い男性(「美男子(Fair Youth)」と呼ばれることが多い)に向けて、早く結婚して子を作り、その美貌を次の世代に継がせるよう書いている。これらは「Procreation sonnets(子作りのソネット)」と呼ばれている。
  1. シェイクスピアの一番そねっと
  2. シェイクスピアの二番そねっと
  3. シェイクスピアの三番そねっと
...
// 18〜126番 美男子に対する作者の愛が歌われている。
 18. シェイクスピアの十八番(おはこ)そねっと
 19. シェイクスピアの十九番そねっと
...
 22. シェイクスピアの二十二番そねっと
...
 27. シェイクスピアの二十七番そねっと
 28. シェイクスピアの二十八番そねっと
...
 34. シェイクスピアの三十四番そねっと
...
 97. シェイクスピアの九十七番そねっと
 98. シェイクスピアの九十八番そねっと
 99. シェイクスピアの九十九番そねっと
...
116. シェイクスピアの百十六番そねっと
...
121. シェイクスピアの百二十一番そねっと
...
// 127〜152番 「The Dark Lady(ダーク・レディ、黒い女)」と呼ばれる作者の愛人への愛が歌われている。
127. シェイクスピアの百二十七番そねっと
...
130. シェイクスピアの百三十番そねっと
...
133. シェイクスピアの百三十三番そねっと
134. シェイクスピアの百三十四番そねっと
135. シェイクスピアの百三十五番そねっと
136. シェイクスピアの百三十六番そねっと
...
138. シェイクスピアの百三十八番そねっと
...
144. シェイクスピアの百四十四番そねっと
...
149. シェイクスピアの百四十九番そねっと
...
// 153〜154番 寓話的なもの。
...
(分類の解説は、Wikipediaの「ソネット集」についての記事から引用)
一番を読み直したところ、少々気になった(自分の記憶と異なっていた)ので、少し直した。

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シェイクスピアの九十七番そねっと

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シェイクスピアの九十八番そねっと
シェイクスピアの九十九番そねっと
も併せて読むとよいでしょう。
英語版Wikipediaの解説より(Google翻訳結果を多少修正したもの):

これは、詩人が若い男に対する愛を表現する「美青年」連作の一部です。 これは、話し手と愛する人の別れを描いた三つのソネットのうちの最初のものです。

Shakespeare

//--- 原文と拙訳(定形をやめて、訳し直した。意味を読み取ること重視で直訳っぽい)

How like a winter hath my absence been
From thee, the pleasure of the fleeting year!
What freezings have I felt, what dark days seen!
What old December's bareness every where!

まるで冬のようだった、君から離れていた間
過ぎ去りゆく年の喜びだった君
どんな凍える思いだったか、どんな暗い日々だったか
どこもかしこも老いた十二月の裸同然だった

And yet this time remov'd was summer's time;
The teeming autumn, big with rich increase,
Bearing the wanton burthen of the prime,
Like widowed wombs after their lords' decease:

それでも、この隔てられた時は夏だったのだ
多産な秋が、豊かに膨らみ大きく
春の浮気な荷物をはらむ
主人を亡くした後家の胎(はら)のように

Yet this abundant issue seem'd to me
But hope of orphans and unfather'd fruit;
For summer and his pleasures wait on thee,
And, thou away, the very birds are mute;

だがこの豊かな所産は、父親のない実りで、
孤児になるしかないように見える
夏とその喜びは、君にかしずいている
君が去れば、鳥さえも黙ってしまう

Or, if they sing, 'tis with so dull a cheer
That leaves look pale, dreading the winter's near.

鳥が歌ったとしても、とてもだるそうで、
葉を蒼ざめさせ、厳しい冬の近づきを知らせる

//--- イディオム、例文、単語など
fleeting
いつしか[すばやく]過ぎてゆく;つかの間の、はかない
- fleeting moments つかの間の時間

and yet とはいうものの、それでも、それにしても
teeming 豊富な、うようよするほどの
prime[the prime,one's prime]全盛、盛時;[the prime]初期; 春、青春〔of〕
burthen = burden

dread …をひどく恐れる、怖がる、いやがる、心配する(fearより恐れの度合いが強い)

//--- 拙訳について
ちょっと納得がいかない感がある。とにかく、夏になって、恋人と隔てられ、秋になっても会えず、冬を迎えて一年を終えようとしているといったところか。

For summer and his pleasures wait on thee,
有名な18番参照。

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シェイクスピアの百三十六番そねっと

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シェイクスピアの百三十三番そねっと
シェイクスピアの百三十四番そねっと
シェイクスピアの百三十五番そねっと
に続けて。

英語版Wikipediaの解説より(Google翻訳結果を多少修正したもの):

ソネット135とともにソネット136は「ウィル」ソネットの一つに数えられます。この二編は、その下品な性質と、話し手側の自虐的なユーモアが目立つ。"Will" という単語が三つの異なる方法で使用されています。最初の言及は詩の語り手としてのウィリアム・シェイクスピアについてであり、二番目の言及は人の願望や願いを表しています。そして、シェイクスピアの時代によく使われていた性的欲求の意味も含んでいます。

Shakespeare

//--- 原文と拙訳(定形をやめて、訳し直した。意味を読み取ること重視で直訳っぽい)

If thy soul check thee that I come so near,
Swear to thy blind soul that I was thy "Will,"
And will, thy soul knows, is admitted there;
Thus far for love, my love-suit, sweet, fulfil.

私が近づくのを止めようとする、君の
盲いた魂に、君の「ウィル」だと言いつけよ
魂は、君への思いがそこに入るのを許す
このように、私の求愛が、甘く、かなえられる

"Will" will fulfil the treasure of thy love,
Ay, fill it full with wills, and my will one.
In things of great receipt with ease we prove
Among a number one is reckon'd none:

「ウィル」は君への愛という財宝になる、そう、
君への思いでいっぱいにする、私のもその一つ
楽にたくさん受け取ったものともなれば
数ある中の一つなど、ないに等しいはず

Then in the number let me pass untold,
Though in thy store's account I one must be;
For nothing hold me, so it please thee hold
That nothing me, a something sweet to thee:

ではその数の中に、私を数に入れずに入れてくれ
君の貯蔵品勘定に私が一つあることになるけれど
私を引き止めず、私を無(なし)と数えるのは
君のお気に召す、君の甘いものにする

Make but my name thy love, and love that still,
And then thou lov'st me, for my name is "Will."

私の名前だけを恋人にして、なお愛せ、ならば
君は私を愛することになる、私の名前は「ウィル」だから

//--- イディオム、例文、単語など
thus far
そんなにまで、今までのところでは、ここまで、ここ[今]までは、ただいままでのところでは
suit 訴訟;請願,懇願;求婚

fulfil
〈義務・職務などを〉果たす、遂行する;〈約束などを〉履行する、守る;〈命令・条件などを〉果たす、実行する
〈願望・野心などを〉全うする、〈予言・夢などを〉実現する《通例受身で用いる》;〈必要・要件などを〉満たす
〈期限・仕事などを〉終える
[fulfil oneself で]自分の素質を十分に発揮する、自己を実現する

(次の二つは、色々意味がある中の一例として)
will【法律, 法学】遺言;遺言書《【用法】しばしば last will and testament という》
prove【法律、法学】〈遺言を〉検認する

tell〈…を〉数える
stores account 貯蔵品勘定
hold
〔+that〕〈…と〉思う、考える;〔+目的語+(to be)補語〕〈…を〉〈…だと〉思う;〈…を〉〈…と〉判決する
- hold a person dear 人をいとしく思う、人を愛する
[様態の副詞を伴って]〈…を〉(…に)みる、考える
something sweet 甘いもの

still まだ、今までどおり

//--- 拙訳について
ちょっと何言ってるか分からない、というのが正直なところで、とりわけ、11、12行目が、よく分からない。英文の解説も読んでいるし、翻訳本も参考にしているが、この原文をどう読んだらそうなるのか、理解できない。

For nothing hold me, so it please thee hold
"hold" という単語の意味は、辞書サイトの引用とおりだが、"nothing hold me" というと、現代的な思考(?)では、「とどめる(動かないように押さえる)ものなし」というように聞える。
Then in the number let me pass untold,
9行目で "let me pass"(「通してくれ」)と言っているので、それに呼応して、通してくれるなら、みたいに自分は読んだ。

Make but my name thy love, ... / And then thou lov'st me, for my name is "Will."
ここまでくると、完全にフラれて、負け惜しみに近いような...

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シェイクスピアの百三十五番そねっと

過去記事(「2004年2月」〜)は、左側の「バックナンバー」の文字をクリック!
まず、オンライン辞書の記載内容を無断転載していると非難されないように、調べた単語や例文などの出典を、再度、明確にしておきたい。基本的に、weblio 英和辞典・和英辞典を利用しています。詳細については、「拙訳タンジェリン・ドリーム「タイガー」my poor translation of "Tyger" by Tangerine Dream」に記載したとおりです。

シェイクスピアの百三十三番そねっと
シェイクスピアの百三十四番そねっと
に続けて。

Shakespeare

//--- 原文と拙訳(定形をやめて、訳し直した。意味を読み取ること重視で直訳っぽい)

Whoever hath her wish, thou hast thy “Will,"
And “Will" to boot, and “Will" in overplus;
More than enough am I that vex thee still,
To thy sweet will making addition thus.

他の女がどうであれ、君には「ウィル」がいる
その上、別の「ウィル」も、他の「ウィル」もいる
君にせがみ続ける、この私[を]
その心地よいお心に、付け加えるのは余分だろう[が]

Wilt thou, whose will is large and spacious,
Not once vouchsafe to hide my will in thine?
Shall will in others seem right gracious,
And in my will no fair acceptance shine?

どうか、その大きく広いお心に
一度と言わず、私の心を入れさせてはくれまいか
他(た)の者に恵み深くあるのであれば、私の[もの]も
公平に受け入れて、輝かせてはくれまいか

The sea, all water, yet receives rain still,
And in abundance addeth to his store;
So thou, being rich in “Will," add to thy “Will"
One will of mine, to make thy large “Will" more.

海は、水に溢れて、なお雨を受け止める
貯えをなお豊富に追加する
「ウィル」がいっぱいでも、ならば、君の「ウィル」に
私のを一つ加えて、もっと「ウィル」を大きくできよう

Let no unkind, no fair beseechers kill;
Think all but one, and me in that one “Will."

親切であってくれ、正当な慈悲を求める者を殺すでない、
一まとめにして考えよ、私を一つの「ウィル」に入れよ

//--- イディオム、例文、単語など
your wish
御意
- Have, then, your wish! しからばお望みに任せん
overplus 過多、過剰
vex
〈人を〉いらだたせる、じらす、うるさがらせる《しばしば過去分詞で形容詞的に用いる→vexed》
〈人を〉悩ます、当惑させる
to boot[成句]そのうえに、おまけに

(あくまで「参考までに」ですが、…)
at one's sweet will 勝手放題
sweet william
A flowering plant, Dianthus barbatus, in the family Caryophyllaceae, native to the mountains of southern Europe from the Pyrenees east to the Carpathians and the Balkans.[Synonym: bunch pink]
1912, Katherine Mansfield, The Woman At The Store: Of flowers there were double poppies and sweet-williams.

vouchsafe
(厚意またはお情けで)〈…を〉与える、賜わる
〈地位の低い人に〉〈…を〉与える、賜わる;〔地位の低い人に〕〈…を〉与える、賜わる〔to〕
親切にも〈…して〉くださる〈to do〉
〔安全などを〕保証する、請け合う
will
[しばしば the will]意志;〔+to do〕[the will]〈…しようとする〉決意、決心;意欲
意志の力、自制心
[God's will で](神の)意、御旨(みむね)
[通例 one's will](人の)望み、願い、欲するところ
(他人に対して持つ好意・悪意の)気持ち;意向
【法律, 法学】遺言;遺言書《【用法】しばしば last will and testament という》
gracious
(偉い人が下の者に対して寛大な心で)丁重な、親切な、やさしい
〈神が〉恵みあふれる、慈悲深い
[慣例的に王・女王に用いて]恵み深い
〈暮らしぶりなど〉優雅な、上品な

in abundance 多量に、豊富に

beseech
〈人に〉〔慈悲などを〕嘆願する〔for〕、〈…するように〉懇願する〈to do〉〈that〉;〈慈悲などを〉求める〔of〕

//--- 拙訳について
"Will" が連呼され、それは、単に "William" の愛称だけでなく、ほかの意味も重ねられている。
("will" という単語が、[主に男性の?]生殖器を指すことがあるのを知らないわけではなく、それを念頭に置いて「拙訳」したが、英文のいくつかの解説サイトのような、そう断言した現代語訳にするのは「お門違い」だと思う)
一般的な解釈に従って、"Will" はカギカッコで囲んでカタカナ表記とした。岩波文庫の高松雄一先生の注釈を引用:

一六〇九年版の原文では、大文字で始まるイタリックス体のウィル(Will)が七箇所で、小文字で始まるふつうのウィル(will)が六箇所で使われ(…中略…)、徹底してこの言葉のもじりが行われている。このウィルには、心、願望、意思、欲情、男根、女陰、ウィリアムの愛称など、さまざまな意味が絡みあっていて解きほぐしがたい。(…後略)

第一節(正確には、原文は節として区切られてはいないが便宜上)の三つの "Will" については…:

この最初の二行のウィルは、他の意味も含んではいるが、おもに人名として用いられたものと解する。これら三人のウィルのなかに、ウィリアム・シェイクスピア自身が含まれていることはほぼ確かだが、他の二人は明らかではない。第一部の若い友人、および女の夫と取る説もある。

To thy sweet will ...
この "will" は、「≒ "heart"」と受け取った。その上で、「あいまいな日本」らしい「魔法の言葉」、「心」を当てた。

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シェイクスピアの百三十四番そねっと

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シェイクスピアの百三十三番そねっと」の次の一遍で、続けて、「美男子(Fair Youth)」と、「暗い女(The Dark Lady)」との「三角関係」が、『ヴェニスの商人』を思い出させる、特徴的な喩え方で詠われている。

Shakespeare

//--- 原文と拙訳(定形をやめて、訳し直した。意味を読み取ること重視で直訳っぽい)

So, now I have confess'd that he is thine
And I myself am mortgag'd to thy will,
Myself I'll forfeit, so that other mine
Thou wilt restore, to be my comfort still:

認めよう、友がおまえのもので、私は
私自身を、おまえの思うがままの、抵当に入れていると
自分自身に対する権利を失っても、他の私のものを
おまえが返してくれれば、癒されもしよう

But thou wilt not, nor he will not be free,
For thou art covetous and he is kind;
He learn'd but surety-like to write for me,
Under that bond that him as fast doth bind.

だがおまえはそうはしない、友は解放されない
おまえは貪欲で、思いやり深い友は
保証人にでもなったつもりか、私の代わりに
署名して、その証文にしっかり縛られた

The statute of thy beauty thou wilt take,
Thou usurer, that put'st forth all to use,
And sue a friend came debtor for my sake;
So him I lose through my unkind abuse.

おまえは美しさという法令を盾に取る
使えるものはなんでも使う高利貸しめが
私のために債務者になった友を訴えるとは
私へのひどい仕打ちで友を奪うとは

Him have I lost; thou hast both him and me:
He pays the whole, and yet am I not free.

私は友を失った、おまえは友と私を手に入れた
友はすべてを払ったが、なおも私は解放されない

 

//--- イディオム、例文、単語など
mortgage

〈土地・財産を〉抵当に入れる
〔+目的語+前置詞+(代)名詞〕〔人に〕〔…を借りるために〕〈土地・財産を〉抵当に入れる〔to〕〔for〕]
forfeit
(罰として)〈財産・権利などを〉失う、没収される
〈…を〉喪失する、〈権利を〉失う
restore
〔+目的語(+to+(代)名詞)〕〈失くしたもの・盗まれたものを〉〔…に〕返す、返還する
〔+目的語(+to+(代)名詞)〕〈人・ものを〉〔もとの地位・状態などに〕復させる、復職させる
〈制度・習慣・秩序などを〉復活させる,復興[再興]する;再建する
〔+目的語+to+(代)名詞〕〈古い建物・美術品などを〉〔もとの状態に〕修復する;〈古生物などを〉〔もとの形に〕復元する.
〈健康・美しさ・信頼などを〉取り戻す.
〔+目的語(+to+(代)名詞)〕〈人を〉〔健康な状態などに〕戻す《通例受身で用い、「〈人が〉〔健康な状態などに〕戻る、健康[元気]が回復する」の意になる》

covetous 非常に欲しがる;強欲な;〔他人のものなどを〕むやみに欲しがって〔of〕
surety 保証、抵当;引き受け人、(保釈)保証人
learn to do
(悟って[努力して])〈…〉できる[する]ようになる、〈…の仕方を〉学ぶ、覚える
bond
縛る[結ぶ、つなぐ]もの《ひも・なわ・帯など》;[通例複数形で]束縛、拘束;かせ
[しばしば複数形で]結束;きずな、ちぎり、縁
契約、約定、盟約;同盟、連盟
(借用)証書、証文;公債証書、債券、社債;保証人;保証;保証[保釈]金

statute【法律、法学】制定法;法令、成文法、法規
usurer 高利貸し
debtor 借り主、債務者(⇔creditor)

//--- 拙訳について
これまたかなり手ごわいと思った。昔自分で訳したものを読み返したら、何を言っているのかさっぱりわからず(多分しっかり理解できてなかった)、手持ちの翻訳本を読んでもピンとこないほどだった。ネット検索で、いくつか現代語訳されているものや、解説を読んでみたりして、なんとか「噛み砕けた」と感じた。
こんな調子だから、この「拙訳」が、日本語で詩になっているかどうか、怪しい。
最初は、曲を付けられるぐらいにしたかったのだが、この一編で特徴的に使われている金融関連の用語等を無視するわけにはいかず、そうすると、それだけで、かなり語数を取って膨らんでしまうのが難しい。

And I myself am mortgag'd to thy will,
最近のよくない風潮として、英語をそのままカタカナ語として[怪しげな意味で]使い回すことが多いが、"mortgage" という単語も、そのまま「モーゲージ」として、中でも「リバースモーゲージ」はよく聞く。これは、(主に老後の生活のために)「現在住んでいる自宅を担保に生活資金等を借り入れし、契約者死亡時に担保不動産を売却することで借入を返済する仕組み」(みずほ銀行)のこと。
銀行に "mortgage" すると金を貸してくれるわけで、「おまえ[のご意向、意思]」にそうするとなにをしてくれるか、と考えると、「愛 "love"」をくれるのだろう。続く、
Myself I'll forfeit, ...
「私自身の所有権を失うことになる」と合わせて、要するに、自分の意思を放棄し、おまえの言うがままになる、ということでしょう。惚れた弱み。

...so that other mine / Thou wilt restore, ...
他の私のもの(所有物)、とは、一行目で "he is thine" と言われている、今や、おまえのもの(虜[とりこ])となっている「美男子(Fair Youth)」のこと。restore = return

Thou usurer, that put'st forth all to use,
手持ちの翻訳本では、すべてに利子を付ける、みたいな訳になっていたが、辞書で調べても、どこから「利子 "interest"」が出てきたのかよくわからなかった("put" から? "put" は「[金を]つぎ込む」みたいな感じではないかと?)ので、参考にせず、ネット検索で調べた読み方(英文)を参考にした。
自分の「拙訳」では「使えるものはなんでも使う」としているが、どこにも、想像される、"whatever" といった語はない。「なんでも」というべきか、一言で言えば、要は「女を使う」ということなんでしょうけど、「体」だけじゃあない、まあ、他にも「手練手管」とか、色々ありそうなので。最近比較的良く聞く言い回しで、「金で解決した」みたいな感じで訳してみた。

my unkind abuse
「私が」"abuse" するということではなく、[おまえが]「私を」"abuse" するということ、ですね。

「私」は「おまえ」の愛を得るために、「私自身」を担保にした(お前の言いなりになった)が、心優しい「友」が、私に代わって返済を引き受けようと「保証人」になって(借用証書の保証人欄に保証人として署名捺印したばかりに借金取りに追い回されるといった状況を想像してみよう)、「おまえ」に返済を続けている(「おまえ」と関係を結んでいる)。全額返したはずなのに(例えば、「十一(といち)」の利子がどうとか言って)、完済を認めない、「おまえ」は貪欲な高利貸しだと非難している。
わが「友」が「おまえ」と通じたのは、彼が "kind" で、「私」のためにそうしたのだというのは、「友」を愛する「私」の希望的観測・楽天的解釈であって、実際のところはどうなのか、わからない。ドロドロした△関係。

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